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2025.12.25#イベント

第614回 沖縄大学土曜教養講座 「沖縄の食文化の歴史と未来 ─ 人工知能を活用した文献データベース構築をめざして ─」 開催報告

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2025年12月20日(土)、沖縄大学本館同窓会館において、第614回沖縄大学土曜教養講座「沖縄の食文化の歴史と未来─人工知能を活用した文献データベース構築をめざして─」を開催しました。

本講座は、2025年度沖縄大学共同研究班「沖縄の食文化に関する文献調査?人工知能を活用した文献データベース構築」の研究活動の紹介を兼ねて実施されたもので、研究開始から1年目の成果報告と、沖縄の伝統的食文化の継承をめぐる意見交換が行われました。

研究報告①「沖縄の食文化に関する情報の現状と課題」

報告者:新島哲太郎(沖縄大学 健康栄養学部 教授)

新島教授からは、沖縄の食文化、とりわけ琉球料理に関する文献研究の現状と課題について報告がありました。

戦前?戦後に刊行された多くの重要文献がデジタル化されていないことにより、近年の生成AIが不正確な情報を参照?生成してしまう問題点が指摘されました。

その上で、信頼性の高い一次?二次資料を精査し、要約?分類?キーワード化を行った文献データベースを構築することで、研究者のみならず一般の利用者にも正確な情報を提供する基盤づくりの重要性が示されました。

また、琉球料理の成立や変遷、地域や時代による料理の意味の変化などについても具体例を交えながら解説が行われました。

 

研究報告②「データベースの活用─明治中期の食?食材」

報告者:荒木裕子(沖縄大学 健康栄養学部 准教授)

荒木准教授からは、明治中期の文献や風俗資料を中心に、当時の沖縄の食材や食生活を読み解く試みについて報告がありました。

文字資料だけでなく、絵画や図像資料を含めた文献分析の可能性や、現代の食文化理解につながる視点が提示され、データベース化によって研究の幅が大きく広がることが紹介されました。

 

シンポジウム「伝統的食文化をどう継承するか」

シンポジウムでは、又吉和則氏(NHK沖縄)、細田史雄氏(NHK沖縄アナウンサー)、金城助氏(沖縄調理師専門学校講師)、 新島哲太郎氏(沖縄大学健康栄養学部教授)が登壇し、沖縄の伝統的食文化を未来へどのように継承していくかについて意見交換が行われました。

料理人の立場からの実践的な視点、メディアの役割、学術研究の知見をどのように社会に還元していくかなど、多角的な議論が展開され、伝統を「固定する」のではなく、正確な理解に基づき次世代へつないでいくことの重要性が共有されました。

 

●参加者からの感想(一部抜粋)

今回の講座を通して、地元の料理について自分が十分な知識を持っていなかったことを知れたと同時に、新たな知識を得ることができた点が、大きな収穫となりました。50代団体職員
尚順も普段は普通の料理を食べていたことを知り、驚きました。チャンプルーも祭りのときに食べられており、現在のチャンプルーのイメージとは違うと感じました。社会が変化しても琉球料理を残していくためには、琉球料理自体も変化していくのだと思いました。20代大学生(沖縄大学)
「琉球料理」という言葉は、はじめにいつ、誰が名付けたのか。
宮廷料理、庶民料理、さつまいも中心だった食生活など、まだ頭の整理ができていませんが、真剣に考える機会になりました。ありがとうございました。
50代自営業
大変興味深い内容でした。20代大学生(沖縄大学)